【大会レポート③】北海道マラソン2018に出場しました(後編)
2018年8月26日に北海道・札幌で開催された『北海道マラソン2018』の体験記、今回は後半の模様をお伝えしたいと思います。
前半の様子はこちら。
オーバーペース気味に入った前半。それでもここまでは割と快調に走ることが出来、まだまだ気力十分の状態で、道マラ名物「新川道」の一本道に突入いたしました。
20㎞~30㎞まで
左脚の異変
20㎞地点に入ってすぐ、左脚に異変を感じ始めました。足首の前側が異常に痛いのです。脚が地面に着地するたびにズキズキと痛む、これは初めての経験です。
この時は、着地の衝撃で足首を痛めたのかと思いました。膝の痛みと同じで、暫く走っていれば感じなくなるはず、と思い走り続けました。
21㎞地点通過です。この頃から、映像がぼやけています。恐らく、汗だくの手でカメラのレンズ付近を触ってしまったんだと思います。ご容赦ください。
小さすぎて見にくいですが、『中間点』と書かれたプラカードと青色のラインが見えると思います。ようやく半分まで来ました。
ここで満を持して2本目のジェル、『ワンセコンドCCD』を投入。クリアレモン味が美味しく、しかも他のジェルより柔らかくて甘さもマイルド。初めて頂きましたが、これは飲みやすいです!
青いラインを通過すると、出走前に靴紐に取り付けたタグを読み取って、タイムが計測されます。この時の私のタイムは、2時間10分14秒。スタートのロス4分を除いて単純に倍にすると4時間16分台となります。
少なくとも今のペースを維持し、終盤でペースアップ出来なければ、自己ベスト更新(4時間15分以内)は狙えません。
痛みを忘れて無心でRUN
遠く続く一本道。右手には、3時間台のエリートランナーが続々と折り返し来ているのが見えます。23㎞地点後半でまた脚が軽くなり、二度目のランナーズハイが訪れます。どこまでもガンガン行けるぜ!と気が大きくなります。ここで冷静にペースを維持できないところが、初心者ランナーの特徴。。
先ほど感じていた足首の痛みなど忘れたまま、長い一本道、新川道の折り返し地点を通過しました。ここを折り返すと、今度は自分より後方を走る選手たちの様子が見えて、勇気づけられます。メンタル的にもう一度盛り返す局面です。景気づけに、アミノバイタルを投入。シャキっとします。
景色の変化が乏しく、長い一本道の新川道ですが、沿道には絶えず応援の方がいらっしゃいます。本当に有り難いことです。応援の声を励みに、折り返しから30kmくらいまでは無心で走りました。
20〜30kmまでの1㎞毎のタイムですが、6分をなかなか切れなくなり、後半の5kmは平均6'13まで失速。ただこれは想定の範囲内。後半でも巻き返せるはず、とこの時は思っていました。
30km〜ゴール
脚の痛み再び!
30kmを過ぎると、足首の痛みが猛烈にぶり返してきました。しかも今度は両脚(涙)。肉がえぐられるような、足首取れちゃうんじゃと思うほど激しい痛みが定期的に襲ってきます。
そしてようやく痛みの正体に気が付きました。きつめに結んだ靴紐による締め付けです。スタート時は丁度良かった靴紐が、走り続けることで脚がむくんでタイトになってしまったのでしょう。靴を新調しながら、本番までにその靴で20km以上の距離を一度に踏む事が無かったため、この予想外のアクシデントを生みました。
痛くてペースを保てなくなってきました。それまで快調に走り続けてきたのに、30km過ぎでまさかの大失速。足首の痛みで気持ちが切れたことで、一気に疲労が押し寄せてきました。
このまま走り続けるのは無理と判断。タイムロスですが、32km付近で他のランナーの邪魔にならないよう沿道に腰掛け、靴紐を結び直しました。
再び走り始めると、今までのちぎれそうな痛みが嘘のように無くなりました。やはりこの時の判断は正しかったと思います。精神的にも相当楽になりました。
気持ちが勝負の35㎞地点
どうにか35km地点を通過。足首の痛みは無くなったとはいえ、きつい時間帯です。
「脚が攣ったらどうしよう」とか「さっきの足首の痛みがぶり返したらどうしよう」とか、とにかくネガティブな思考の波が押し寄せてきます。そんな時、ネガティブなことばかり考えてしまっても、自分の不調を自覚してしまうだけで良いことなど一つもありません。「ここを耐えれば、もう一度身体が楽に感じる時間帯が必ずやってくるはず!」「ゴールしたら美味しいパンケーキを食べに行くぞ!!」と、努めてポジティブ思考で走りました。
ここで自分に鞭を入れるように、最後のジェル、『サバス ピットインジェル(栄養ドリンク風味)』を投入!カフェイン入りのため、元気が戻ったような錯覚に陥ります。このまま騙され続けておくれ、私の身体!
新川道を抜けました!ゴールが近づいてきている証拠です!
北大の陽オーラで完全にメンタル回復!
周りがキャンパスっぽい雰囲気に。お、もしかして例の大学が近いのかな?
じゃじゃ~ん!ついにここまで来ました、北海道大学!!
キャンパス内を疾走します。これまでの代わり映えしない道から一転、賑やかな雰囲気に包まれ、気持ちが思い切り前向きになりました。大学時代の記憶が呼び覚まされ、急に若返ったような錯覚にさえ陥ります。
北大って、緑がいっぱいで気持ちいい。陽のオーラが出てます。
夏の大会だけあって、脚が攣ったり、気分が悪くなったりといったトラブルがどうしても増えてしまうのでしょう。あと5kmも無いのですが、歩いている方がポツポツといらっしゃいました。私も脚が攣りそうな兆候があり、ひやひやしていましたが、とにかくがむしゃらに走りました。
39kmの看板が見えてきました。もう皇居一周分もありません。体育会の学生気分で「ファイトー!」と叫びたい気分でした。もう少し、あと少し。
渾身のラストスパート
再び、札幌の市街地に戻って参りました。沿道の声援が、ゴールに近づくにつれて大きくなっていくのが分かります。
あと1km程で、私の北海道マラソンが終わってしまう。そう考えると寂しくなります。ゴールの大通公園までもうすぐです。
沿道の声援に「ありがとうございます!」と大声で手を振って応えました。脚は限界で、いつ攣ってもおかしくない状況でしたが、多くの方々の声援を受けて、気持ちは前へ前へ向かっていました。大会を支えて頂いたたくさんのボランティアの方々や、沿道で応援して下さる方々への感謝の思いで、胸がいっぱいになり、うまく息が吸えなくなる一幕もありました。
大通公園に差し掛かってから最後の数100mは、腕をめいいっぱい振り渾身のラストスパート。ゴールゲートを目視できる距離まで来たとき、左ふくらはぎが攣りそうになりましたが、ここまで来ればもう関係ありません。間もなく、感動の瞬間が近づいています!
最後は両手を大きく突き出し、笑顔でのゴールとなりました。
レース総括
今回の記録について
記録はネットタイムで、4時間27分。自己ベストには遠く及びませんでしたが、練習不足且つ一睡も出来ないという条件下で挑み、脚の痛みも乗り越えての完走ということで、大満足です。
こちらが今回の記録。1㎞毎のタイムと累計時間です。真ん中の「タイム」の部分を追っていくと、私の42.195㎞の中での浮き沈みが見て取れると思います。
31㎞地点でガタッと失速しているのがわかります。32㎞地点で靴紐を結び直し、そこから一旦盛り返したかに見えましたが、36㎞以降は7’00台からなかなか浮上出来ずに苦しみました。
反省点と次回への課題
今回のレース、明らかな「練習不足」です。前半のペースも、前回の東京マラソンの時のコンディションであれば、後半に十分ペースアップできるくらいの速さです。ペースメイク以前に、本番までに脚を仕上げられなかったことが悔やまれます。後半にペースアップ出来る、粘りのある脚を作ることが次回への課題です。
加えて、体重も重すぎました。私は身長168㎝で体重65㎏ですが、せめて60㎏くらいまでは減量して臨むべきでした。一般的にマラソンは、1㎏の減量で3分タイムが縮まると言われており、まだまだタイムの伸びしろがあると言えます。また、身体が軽ければそれだけ怪我にも強くなるはずなので、普段の練習で故障して練習時間が取れなくなるリスクも減らせます。本格的にシーズンインする前から、身体を絞りたいと思います。
次回のレースは来年、2019年の1~3月に照準を合わせ、後半に強い脚づくりと減量で、サブフォー達成(4時間を切ること)を目標に、頑張っていきたいと思います。
北海道マラソンに出場した感想
コースは非常に走りやすいが、新川道が色々な意味で鬼門
コースは序盤に軽い上り下りがあるものの、ほぼフラットです。道も広く、非常に走りやすいです。開催日によっては気温が高いのが難点ですが、気象条件が良ければ記録を狙えるコースかもしれません。
ただ、鬼門は何と言っても、平坦な一本道の「新川道」。日差しも風も、遮るものが何もないため、その日の天候によってコンディションが大きく左右されます。今回は曇りでしたが、もし晴天だったらと考えると、ぞっとします。
加えてこの新川道、とにかく景色が変わらず、飽きます!メンタル面の消費が激しいです。初心者ランナーの心を折る破壊力がこの一本道にはあります。
私も走りながら弱気が顔を出しそうになったため、沿道に近いところを走って、応援の方々に意識を集中させました。声援に耳を傾け、人間観察を楽しむことにフォーカスし、自動操縦的に走って乗り切った感じでした。
ボランティアが充実している
私は、初フルマラソンが東京マラソンという恵まれたランナーですが、自身2回目の出走である北海道マラソンは、東京マラソンに比べてもボランティアの手厚さでは全く引けを取っていなかったと思います。
圧巻は、どこまでも続く長い給水スポット。真夏の大会だけに、一区間でも給水を逃すことは死活問題なのですが、この大会に限ってはその心配は無さそうです。充実した給水スポットのおかげで、安全・快適に走破出来たと思います。
沿道の応援が温かい
沿道の方々の応援の温かさが印象に残りました。
先ほども触れたように、コースが平坦で飽きてくる新川道は、沿道の方々の応援無しには乗り切れなかったと言い切れるほど、励みになりました。有志でコーラや梅干し、果物などを配っている方々もたくさんいらっしゃって、体力的にも精神的にも何度も助けられました。本当、感謝の気持ちでいっぱいです。
北海道マラソン2018の模様を、大会前日から3回に渡ってお伝えしてまいりました。これから出場を考えられているランナーの皆さんの参考になれば幸いです。
北海道マラソン、本当にいい大会でした!!!
ではまた。